自己満足に満足すること
趣味って何だろね
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趣味を仕事にすると後々辛くなるみたいな話をたまに聞く。それとは逆に趣味を仕事にして充実した生活をしてる人もいる。
趣味の定義はよく分からないけど、単純に「好きなこと」で置き換えることはできそうだ。
ーー趣味のために仕事をする
ーー仕事終わりで疲れててもできることが趣味
ーー仕事の経験を趣味に活かせる人
ーーまた、その逆
趣味ってなんでしょ?
誰かからエレクトーンは趣味かと問われたらはっきりそうだとは言い切れないかもしれない。
エレクトーンが好きかと問われたらはっきりそうだと言い切れる。
この違いはなんだろうね。
エレクトーンを引退すると言ったことが何回かあったかもしれない。
でも実際は引退してない。
かと言ってたくさん弾いてるわけでもない。
好きってなんだろう。
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たまにここでも登場するが、はぐれ研究員の家にはエレクトーンが複数台ある。
エレクトーンは他の楽器と異なり、「弾かなくなったから捨てる」だけでなく、楽器を続けていても「古くなったから捨てる」ということがよく起こる楽器だ。
壊れていなくても、である。
そんなわけで古いエレクトーンには基本的に資産価値は無く、入手は(重さ大きさを除いて)容易い。
小学生の時、グループレッスンに通ってた時のエレクトーンは記憶の限りは鍵盤の間にスイッチが8個付いた白色の仔だった。時代を照らし合わせてみると、最初はスイッチ5個の仔だったかもしれない。
中心に黒い大きなエレクトーン。そしてそれを取り囲むひと回り小さな白いエレクトーン達。
操作をする時に何かの拍子で鳴る高いド♯の操作音が何か好きだった。
あるレッスンに珍しく早く着いた日、教室に入ると先生のエレクトーンが黄色い木目調の機種に変わっていた。先生が新しいエレクトーンと格闘してたのが遠い記憶にある。演奏を眺めていたら合図に合わせてボタンを押してと言われて押したのも何となく覚えてる。(今思うと多分バンクの切り替えスイッチかな)
フルート系のシャワシャワした音が印象に残った。
黒いエレクトーンは消えた。
新しい黄色のエレクトーンを、先生は今の一番良い機種と言っていた。ならば周りの白いエレクトーンは?と訊くと、昔の王様、と教えてくれた。
白いエレクトーンが黄色いエレクトーンを囲むようになってしばらく経った頃、教室に行くと囲んでるエレクトーンの半分が黄色になってた。
背面はグレーではあるが、側面が目立つ置き方をされてたので何はともかく黄色なのである。
ある日、先生が何かを持ってくるのを忘れた。
その後、しまった、と代わりに持ってきた四角い記憶媒体は隅に追いやられていた小さな白いエレクトーンに入れられた。小さな白いエレクトーンからリズムの音が流れた。白いエレクトーンからリズム音が流れるのは初めて聴いたし、そんなことができる機種だったのだと驚いた。
小学校5年生でレッスンを辞めるまで、「昔の王様」は3台だけ生き残っていた。昔の王様がリズムを鳴らしたのはアレきりだったけど、それからずっとどこかで心惹かれている気がした。
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2015年、6年振りに教室を訪れると白いエレクトーンは無くなっていた。黒いエレクトーンは狭い教室にかろうじて残っていた。それどころか、かつて最新だった黄色のエレクトーンまでも旧式になって隅に追いやられていた。
2021年、また訪れてみると黒いエレクトーンも無くなっていた。
電子楽器だから世代交代するのは当たり前。でもみんな、多分壊れる前に役目を終えてしまうのがエレクトーンという楽器。
今、自分は「昔の王様」の兄弟機を相棒としている。
色は白ではないけど、子供の頃に心惹かれた機種との対面にはとても心躍った。
(なお色々あって状態はかなり悪い模様)
この機種を今、現役で演奏活動に使っているのは多分世界で自分1人しかいない。
そんな生き残りを相棒に、どこまで求める音楽を奏でられるか、自己満足できるか挑戦し続けていきたい。
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使用機種がEL-900(m)からEL-400になりました